厚生労働省が7月27日に公表した「介護保険における福祉用具サービスの利用実態及び有効性に関する調査研究事業報告書」では、福祉用具のメンテナンスが、販売品より貸与品で手厚く行われる傾向にあることが分かった。
調査は、財団法人テクノエイド協会が昨年8月から今年2月にかけて実施。4種類の調査を行い、▽指定福祉用具貸与事業所(特定福祉用具販売事業所の併設も含む)を対象にした「福祉用具種類別のサービス提供の実態把握(全国調査)」▽福祉用具サービスの利用者と介護者への5段階評価による「福祉用具の利用効果に関する満足度調査」▽福祉用具サービスの新規利用者に対する「福祉用具の利用効果に係る定点観測調査」▽福祉用具貸与・販売事業者を対象にした「種類別のサービス提供実態把握(事例調査)」―について報告書にまとめた。
「福祉用具種類別のサービス提供の実態把握(全国調査)」の結果によると、メンテナンスの実施については、販売品と貸与品で傾向が分かれた。貸与品では、訪問の際にメンテナンスを実施している事業所の割合が、すべての品目で8割を超えているのに対し、販売品では腰掛便座の60%が最も高かった。頻度についても、認知症老人徘徊感知機器を除いたすべての品目で、8割超の事業所が6か月に1回以上実施していた。その一方、販売品で年に1回以上実施していた事業所の割合は、腰掛便座の42%が最も高く、以下は入浴補助用具の40%、移動用リフトのつり具の36%と続いた。また、貸与事業所における利用者の93.4%が「継続(終了含む)」(うち7.3%が用具を返却した利用者)、6.6%が「新規」だった。一方で、事業所が行う情報提供からフォロー・モニタリングまでのサービスの多くが、実施回数ベースで新規利用者に集中していた。
「福祉用具の利用効果に関する満足度調査」では、福祉用具とそれにかかわるサービスに対する満足度が、簡易浴槽の2.7を除いて4.0前後だった。具体的には、利用者では歩行器の4.1と特殊尿器の3.6、介護者では認知症老人徘徊感知機器の4.2と移動用リフトのつり具の3.8がそれぞれ最高値、最低値だった。報告書では「福祉用具サービス全体としての満足度が高くなっている」と結論付けている。
「福祉用具の利用効果に係る定点観測調査」は、「本人の日常生活動作能力と自立度の状況について継続的な実態把握」と「福祉用具の返却及び変更、サービスの見直し等の実態把握」が目的。報告書では、利用者の生活機能や自立度などの変化に応じて、福祉用具が柔軟に変更されていると分析している。また、「種類別のサービス提供実態把握(事例調査)」では、事業者が行っている業務内容をヒアリングし、映像に記録することで、その具体的な実態を把握した。
次回の介護保険制度改正にむけて今後さまざまな動きがでてきそうな気配…
今後も情報発信していきます。
ハナオ